『量子コンピュータへの誘い きまぐれな量子でなぜ計算できるのか』を読んだ

まったく私の専攻と関係ないのだが、「量子コンピュータ」という響きにひかれて衝動買いしてしまった本。
「高校生にも理解できるように」と紹介されていたが、高校1年生くらいの知識ではちんぷんかんぷんなまま読み終わると思う。ある程度の物理と化学の知識がないと量子の話はわからないと思う。それらの科目を履修したことのない人はまず読まないほうがいい。大学受験生で量子の分野に興味のある人にとっては「誘い」としてはいいと思う。
一応量子力学に関する知識はちょっとあって、それなりに興味を持って読んだが、それでも結構難解だった。特に後半になるにつれ難解さが増す。
式に関する導出や説明がなかったり唐突だったりする部分もあり、「ん?ん?」と思いながら読み進める箇所が多々あった。
メンデレーエフキュリー夫人など数々の有名人が出てきて、現代に至るまでの量子の歴史が語られる。ここらへんは導入部として非常に親切であるが、この量子論の話が本の内容のかなりを占める。「知りたいのは量子コンピュータなんだ」という欲求がかわされる。
結局一番知りたかった量子コンピュータの話は最後のほうに数十ページしか出てこない。どちらかというと現代までの歴史物語のような感じだった。量子コンピュータの話がメインだと思って買っただけにこれはちょっとがっかりだった。
それでも量子コンピュータについて書かれている部分を読むと感心する。人間の知識はここまで来ているのか、と驚いた。既存の技術が崩れてしまうほどの力を持つこの量子という分野がきまぐれだったり不確定だったりするのは興味深い。科学技術は音も立てず気づかれず巨大化している。

量子コンピュータへの誘(いざな)い きまぐれな量子でなぜ計算できるのか

量子コンピュータへの誘(いざな)い きまぐれな量子でなぜ計算できるのか