『怪 vol.22』を読んだ

今回はゲゲゲの鬼太郎大特集。紙芝居時代の墓場の鬼太郎から、今春公開の映画、4月から始まるアニメまでしっかりおさえている。昭和二十年代の鬼太郎はもちろんリアルタイムで経験していないので、この特集が貴重に感じられる。また、幻のまんが発掘で単行本になっていない鬼太郎が読める。
各連載も充実している。「柳田國男「世間話の研究」をどう読むか」を読むと改めて柳田翁の深さが伝わってくる。未だに柳田翁の成果について議論されている。そこからまた新しいものが生まれる。まだまだこの分野は進んでいく。
「妖怪の理妖怪の檻」では今までに引き続き妖怪の形について書かれている。今回は身近なことが多く書かれているのでかなり読みやすい。「狸」と言われて多くの人が思い浮かべる「大きな腹に大きな陰嚢」はどこから来たのかから始まり、キャラとキャラクターの違いをメイドキャラやキティちゃんを例に挙げて示し、そして水木しげるのキャラと写実的な背景についてまで話を広げる。ふむふむと引き込まれていく。
妖怪ぎっしりの一冊。お腹いっぱいだけど年に二冊とはもったいない。
子どもの頃は「言うこと聞かない悪い子は夜中迎えに来るんだよ」のアニメ鬼太郎の歌に本気で怯えていた者としては、現代には妖怪や目に見えないものへの畏怖の念が足りない気がする。そんなものはないと言い昔ながらのものを否定し合理的に考える。それなのに新興宗教やカルトに簡単にはまる人は増えていく。不思議だ。

怪 vol.0022 (カドカワムック 248)

怪 vol.0022 (カドカワムック 248)