ダメ。ゼッタイ。

この前テレビでカレー作りをしている場面を見て、大学一年の冬にカレーを作っていたことを思い出した。


一人暮らし始めてから自炊することになり自炊に慣れていないこと、部活していて帰ったら疲れ切っていてご飯作る余力がほとんどないこと、同じ物を食べ続けても飽きないことが重なり、食べ物が日持ちする冬はカレーを作ろうと決めた。


最初は分量通りに作って食べていたけれど、それだとルー少なめご飯多めでも2、3日でなくなってしまうので、段々と水を多くしていった。そうすると一週間食べられる魔法のカレーができた!


日曜に作っておけば次の土曜まで食べられる、当時の自分にとってまさに魔法だった。唯一部活休みの日曜にまたカレーを作ると、また次の土曜まで帰宅後鍋に火をかけるだけでご飯には困らない生活ができた。


そんな大発明をして以前より楽に一人暮らしのご飯を食べられていた冬、Gから連絡がありうちのボロアパートに遊びに来ることになった。
これはカレーを振る舞おうといつものようにカレーを作ったけれど、食べたGから出てきた言葉は
「シャバシャバじゃねえかよ!」
だった。
もはや当たり前のようにそのカレーを食べていた自分にとっては衝撃的だった。えっ、このカレーってシャバシャバなの?
一人暮らしなので実家のカレーも久しく食べていない、外食するなんてお金はなかったからお店のカレーも食べていない。完全に今自分が作って食べているカレーだけがその当時自分にとって唯一のカレーだった。


まさかそれが異常に水っぽく薄いカレーになっていたとは。最初の頃は分量通り作っていたからそんなことはなかったけど、まさに水増しをして一週間分食べられるカレー量にしてからはシャバシャバだったのだと思う。しかし、一週間料理しなくて済む!という嬉しさのほうが大きかったので、水っぽいだなんて全く考えず、そして気付かずに食べていた。Gに言われなかったらずっとシャバシャバのカレーを今も作り続け、食べ続けていたかもしれない。


……そんなことをカレー作っている番組を見ながら思った。
要するに何が言いたいかというと、違法薬物はやってはいけないということ。
大麻や薬物も初めは「ちょっとだけ」のつもりかもしれない。しかし繰り返しているうちに、自分がそのちょっとだけを遥かに超えていることに気付かなくなるし、自分がおかしいということがわからなくなっている。カレーと同じだ。ちょっと水を増やすを繰り返すうちにそれがシャバシャバとなっていることに気付かなくなる。誰かに言われるまでそれがおかしいということに気付かなくなっている。


そういうわけで、違法薬物とカレーの水増し、ダメ。ゼッタイ。