『オートフィクション』を読んだ

金原ひとみの新作。
文中の言葉を一部借りれば「ノンストップ溌剌ノベル」。登場人物の思考が頭の中から溢れ文字になっている。その勢いがすごい。ノンストップでだーっと書かれている。錯乱しているのか普通なのかわからない勢いで次々と思考が溢れている。
そして毎度お馴染みといっていいお下劣言葉のオンパレード。これでもかってくらい多用している。それが特徴といえば特徴だけど受け付けない人は全く受け付けず不快感を感じて終わりだと思う。
お下劣言葉だけじゃなく、登場人物の考え方や生き方など、受け付けない人は全く受け付けないから、金原ひとみの作品は「あり」か「なし」かがはっきり分かれるはず。
私は溢れるノンストップ溌剌文章が良いテンポでぽんぽんと出てきて序盤本当に面白かった。ただ、22nd winter、18th summer、16th summer、15th winterと過去を語っていくにつれてそのノンストップ溌剌ぶりがなくなっていったので、後半は失速している。後半はちょっと辛かった。最初のノンストップぶりのまま最後まで書かれていたらこっちの頭の中まで主人公の思考に染まったと思う。
でも今の歳から過去に向かっているので、過去のほうがまだ未熟でぐちゃぐちゃな思考のために過去の話はテンポが悪く思考意味不明なところがあると考えれば、わざとそう書かれているのかなとも受け取れた。
過去の著書に無理矢理あてはめると前半は『AMEBIC』で、後半は『アッシュベイビー』のような感じ。
そろそろ違う年代の人物や違う設定といったがらっと変わった作品が読みたい。

オートフィクション

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