『マスカレード・ゲーム』を読んだ

マスカレードシリーズ最新作。もちろん今回もホテルが舞台。
被害者は全員過去に犯歴があり、その被害者が加害者だった時に巻き込まれた遺族たちが同じホテルに泊まり、これは復讐のローテーション殺人ではないかというのが序盤に明らかにされるが、さすがにそれが真実で遺族たちが次のローテーション殺人の舞台にこのホテルを選んだということはない。
怪しい人物と犯人っぽいのは全員チェックインした頃には凡そわかる。本作の狙いは謎解き、犯人当てではないようで、ここの部分はかなりあっさりと示しているように読んでいて感じた。恐らく本当の狙いはトリックだ犯人だではなく、加害者と被害者がそれぞれ罪をどう捉えるか、償う、許すとはどういうことか、それはありえるのかといったところを考えさせることだと感じた。最近の東野圭吾作品でよくこのテーマが重厚に書かれているので、今回もこの部分について練りこんでいる気がした。


事件解決後の最後の場面を読み、全く新しい形で続編が出そうだなと感じた。いよいよ潜入捜査ではなくなるので、これまでの魅力が薄れるような、いやもっと深い部分が描けるのでもっと濃密になるような、とにかく次が読みたい。