『瓦礫の死角』を読んだ

表題作ではこれまで詳しくは語られなかった貫太の父親について、いよいよ出所が近いという話を描いてきている。遂に踏み込んだ話か、と思ったけれど、出所が近いという事実を知った直後までで終わっている。やや肩透かしだった。これからはこの周辺について作品にしていくのだろうか。できれば小出しで作品数稼ぐようなことはせずに一発でドカンと素晴らしい作品にしてもらいたい。
「崩折れるにはまだ早い」は芥川賞を取ってから今までの貫太の話かと思いきや、ちょっとした仕掛けがあって意表をつかれた。こういう話は面白い。この視点でかの人を描くというのもいいのではないかと思った。


瓦礫の死角

瓦礫の死角