『無銭横町』を読んだ

定番の、というか唯一の北町貫多もの。今回は6編。20歳前後の若き日、秋恵もの、作家になった後、と西村賢太私小説の全てのパターンが入っている。
一度もセリフを書かずに全て客観的に書いたものもあれば、いつものように容赦なく悪罵をぶつけるものもある。今までにない書き方のほうが多かったので挑戦的な作品かなと思ったけど、それが逆に物足りなく感じてしまった。やはり北町貫多には思いっきり暴れてほしい。感情を秘めるだけでなく赴くままに外に出して、ぶつけて、吐き出してもらいたい。
もっともっと暴れる北町貫多が読みたい。

無銭横町

無銭横町