『羅針盤は壊れても』を読んだ

西村賢太最新作。若き北町貫多の新作2編と過去に発表された2編の再録で合計4編。
新作はいつもの北町貫太がいる。私小説を書き始めた頃がこれまでにない部分だけど、基本的にはあのいつもの貫太。


今回は本の作りが特別で、箱付きになっている。その作りもあってか、なんとお値段3000円。実質新作2編で3000円だったので、本屋で手にした時かなり躊躇ってしまった。それでも西村賢太は人も作品も好きなので買った。
もちろん今回の新作もマンネリを突き抜けた面白さがあった。しかし、再録されている作品のほうが狂気と勢いがあるように感じた。再録のほうが秋恵ものだったというのもあるかもしれないが、ドロドロした感情、普通では考えられない言動といった人間剥き出しの狂気性は再録作品のほうが突き抜けていた。


もっともっと深い部分まで北町貫太というか人間を描いてほしい。


羅針盤は壊れても

羅針盤は壊れても