『雨滴は続く(文庫版)』を読んだ

西村賢太未完の遺作の文庫版。文庫版には作中出てくるヒロイン・葛山久子の特別原稿が巻末に収録されている。ハードカバー版は読んでいたが、この特別原稿が収録されているということで文庫版も買った、購めた。


結果、この特別原稿があるというだけで買った価値はあった。葛山久子さんの西村賢太への言葉が非常に素晴らしく美しかった。特別原稿を読んでいて、テレビ出演や作中でしか知らない西村賢太、北町貫多とは別の姿が見えてきた。恐らくそうだろうとは思っていたところもあるけれど、自分に自信がなく排他的なのに寂しがり屋という面が書かれていて、より西村賢太という人の人間らしさを感じた。
文章に血が、生き様が通っている西村賢太作品が好きだ。今でも生きていてくれたら、今でも北町貫多ものを出してくれていたら、そう思わずにはいられない。慊い。