『廃疾かかえて』を読んだ

北町貫多のなんというむちゃくちゃ加減。フィクションが入っているとはいえ私小説なので、作者の西村賢太は本当に作家になっていなかったらどうなっていたんだろう。とんでもないことで新聞沙汰になるか表沙汰にならず消されるか。それくらい普通ではない考え方で普通ではない過ごし方をしている。
好きなものに対する異常といえるほどの情熱、興味のないもの、嫌いな物に対する異常なほどの嫌悪と憤怒。これくらいどストレートな生き方ができたら本人にとってどんなにいいことか。周りは大変だけど。
普段日常生活を送る中で、協調性ということで我慢していること、倫理や世間体ということでやってはいけないことを、北町貫多は何の遠慮もなくする。とてつもなくひどいけれど、たまらない魅力を感じる。惹かれる。
はっきり言ってむちゃくちゃ。でも中毒性のある魅力。

廃疾かかえて (新潮文庫)

廃疾かかえて (新潮文庫)