数学と軍事

数学はすごいと思う。数学を専攻していない者にとっては数学を研究している人は次元が違う人間のように思える。
ガチガチの数学者の授業を取ったことがあるが、「数式で語る」とはこういうことなんだろうと思った。ほぼ数式で黒板が埋まる。数学者がやるだけあってかなり集中しないと全然わからないが、後で見返してその意味がわかった時に衝撃が走る。理論の展開が本当にエレガント。数式ばっかりでもその意味が伝わってくる。数式が語ってくる。
それと証明にものすごくこだわる。何週か証明をずっとやっている時もあったが、数学を道具として使っている立場の者としてはあまりの厳密さにびっくりした。数学は研究をしている時に目標のために使う式だったりより簡単になるために変形したりといった感じで、私にとっては道具なので、そこまで証明に力を入れるとは、と思った。
現代では理系分野と文系分野で全く違うように思えるが、古代では哲学者が数学の様々な業績を残していることから、数学は哲学であるともいえる。数学者の授業は難解な部分が多々あったが、ちょっとでもわかる部分があると非常に哲学的に思えてくる。
「数学なんて必要ない」とはよく言われるが、買い物一つ例に挙げてもそんなことはないということがわかる。間違いなく数学は世界の根幹を成している。ただ、あまりにも巨大なブラックボックスのためほとんどの人がその恩恵に気づいていない。
話は逸れるが、政府は子供の理科離れを止めようとするなら商品総額表示はやめてほしい。税込み価格だと元はいくらかあまり考えなくなる。税抜き表示なら、「税抜き表示を見る→その商品の値段を知る→1.05、もしくは0.05をかけてその商品の総額か消費税金額を知る」という思考回路ができあがる。価格に敏感になるし、数学に自然と触れることができる。超高齢社会になるんだから、ボケ防止にもいいかもしれない。
今や大型計算機で複雑な問題も高速に解かれている。「スパコン」なる言葉を実体はわからないがなんとなく知っている、という人はかなり多いと思う。こんなに短期間に発達したのは間違いなく「軍事」のせいだと考えている。軍事的需要があったからこそここまで発達した。
大航海時代に海を制す航海術、爆弾の爆発・炎上の解析、ミサイルの弾道計算と、軍事目的で数学が使われ進歩していった。カーナビのGPSですら最初は軍事目的。他国より強力にならなければいけないという考えはいつになっても変わらず肥大し、数学がそれに使われ同時に発達した。工学の分野でいろいろな専門的なことを学んだが、ほぼ全て軍事に結びつく。
「戦争が科学を進歩させた」というのは言い過ぎではないと思う。あまりにも悲しい響きだ。これからもただひたすら軍事のために科学は進歩すると思う。世界平和のために科学が進歩するというのは大昔のロボット漫画の世界なのかもしれない。今軍事のために研究をしているわけではない。この状態がなんとか変わってほしい。科学と結びつくのは戦争ではなく夢であってほしい。
普段それほど意識しない数学に感謝。そして軍事が科学を進歩させない社会になることを望む。