『グランド・フィナーレ』(阿部和重)を読んだ

読後の感想は「あれ?これが芥川賞受賞作品?」だった。なんか全体的に中途半端な感じがした。取り扱っているテーマに対して重さが感じられない。物語を構成しているいろいろなことに対しての理由が少なく、詳しく書かれていないからだと思った。前に読んだ「アメリカの夜」「無情の世界」では読みにくいと時々感じるほどの説明的な文が特徴だと思っていたが、今作はそれが重要な部分にいかされていない。
都会から田舎への移動と気持ちの移動が同じように流れていき、最後の場面は前向きな方向に進んでいると思えた。でも読み返してみると今度は最後の場面が悲劇的な方向に進んでいるような気もした。最後についてはいろいろな捉え方があるのかもしれない。
グランド・フィナーレ」を先に読んでから「無情の世界」を読めば両作品の評価はもっと上がったのかなと思った。

グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレ