『無情の世界』（阿部和重）を読んだ

「トライアングルズ」「無情の世界」「鏖(みなごろし）」の三編が入っているが、どれも面白かった。
三編に共通して感じたのが「狂気」だった。狂っている様、狂っていく様が猛スピードで書かれている。読んでいるとグングンと狂気の世界に引き込まれていく。
特に「鏖(みなごろし）」は文句なしに面白い。「トライアングルズ」「無情の世界」でどんどんとスピードが上がってきて、この作品をむかえる。読んでいる間ジェットコースターのように感じる。
三編とも思いっきり現実離れした話ではない。誰でもこれらの世界に行ってしまう可能性はある。だから余計に狂気の感触が伝わってくる。

無情の世界 (新潮文庫)