『誘拐者』を読んだ

複雑だった。産まれてすぐに誘拐された赤ちゃん、その後消える母親、写真週刊誌の写真記事の背景に写った一般人がきっかけで狂気の女が暴走する。その他にもたくさんの事件と視点が現れて全体像が非常に複雑になっている600ページ弱。
それだけに真相がわかった時の驚きはすごかった。しかし最近折原一作品を続けて読んでいるので、「この時点でも十分驚いているけどまさか…」と思いながら読んだらラスト数十ページでさらなる驚き!複雑だった事件と伏線が一気に見えて急激に中心へと渦を巻いて集まっていった。
それなのに、それなのに、さらにさらにのラスト数ページでのもういっちょ。やられた。結末でやられているとわかっているのに真相がわからず結末までいってしまう。結末までの序盤・中盤が飽きさせない構成となっていて、決して冗長なページ稼ぎになっていない。
作中の登場人物も、解説の方も絶賛しているが、駅のホームでの描写はすさまじい。狂気と恨みが異常なレベルで感じられる。

誘拐者 (文春文庫)

誘拐者 (文春文庫)