『冤罪者』を読んだ

叙述の折原一のすごさを感じた。やられた!
見事に騙された。最初は信じられなかった。どこかに破綻があるだろうと思って読了後気になる点を読み返したが「真相の視点」で読み返すときちんと破綻なく書かれている。もう一度、やられた!
婚約者を殺されたルポライター、冤罪と訴え続ける河原、冤罪者の支援者、被害者家族、いろいろな人が登場するが、どの人物にも深く入れ込まない、感情移入できないような書き方が読み終わってうまいと感じる。その書き方があるからこそ終盤の混乱と真相の驚愕が増す。
割とページ数が多い作品だが、犯罪者なのか、冤罪者なのか、中盤以降の謎の連続の真相は何なのか、など引き込まれる部分がいたるところにあり一気に読めた。やられた!

冤罪者 (文春文庫)

冤罪者 (文春文庫)