『漂流者』を読んだ

「〜者」シリーズ。海の上、登場人物は増えない、その状況でまさかの犯人が殺害される。続く恐怖。
2つの漂流事件が真相を複雑にさせている。誰もが憎しみと隠したい過去を持っていて、それが海上での出来事をより恐ろしくさせている。
叙述としては登場人物の関係からトリックがわかるけれど、それ以上に漂流の記述に迫力があり、そちらに強い関心を覚えながら読んだ。少しはハッピーエンドになるかと思ったら最後の最後にまるで死者の執念かのようなことが起こる。そして締めは物悲しい、ある意味この事件の「主人公」の姿で終わる。

漂流者 (文春文庫)

漂流者 (文春文庫)