『秘密』を読んだ

事故で娘の体に妻が宿る。父であり夫である平介と、見かけは娘で中身は妻との生活。
初めの娘の体の中に妻がいることを納得する場面は、ちょっとものわかりがよすぎるんじゃないかと思った。そうそう理解できるものではないと思う。
夫と(見かけは娘の)妻の生活はとても面白く描かれていて、ついついというような部分がしょっちゅう出てくるのがこの不思議な生活をリアルに感じさせている。
夫の気持ち、妻の気持ちがどちらもわかるよう書かれており、もう一度11歳からの生活をする妻と今のまま進んでいく夫の違いがだんだんと現れてきて、そのずれがどんどん広がっていくのが読んでいて辛かった。
二人のずれが最大になったとき、この話はどうなるのかと思ったが、その答えには不満だった。「そんなに都合よくそうなるのか」と思い一気にトーンが下がった。残りページ数から考えてこういう結論のままいくのかと思い読んでいた。
しかし違った。最後の最後にそうきたか。やられた。まいりました。最後5ページでそれまでの思いが覆された。ラストの5ページで全身に電流が走った。それまでなぜタイトルが『秘密』なのかわからなかったけど、そこで納得。確かに『秘密』というタイトルが一番合う。
よかった。


秘密

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