非常に読後感のいい小説だった。
妻、子がいて、まもなく中年にさしかかろうとしている男性が7つの短編全てに共通する設定。全て異なるテーマを扱っているが、この設定が活きている。
一つの話を読むたびに胸がじわっと温かくなる。悲哀や悲しい現実、自分だけではどうしようもない問題と、どの話もやや重いが、読み終わる時にはすっきりとする。
独身だし中年でもない私は「そうそう」というような共感はなかったが、それでも話の中の人物の思いが伝わってきた。
後記に「炭水化物やタンパク質やカルシウムのような小説が片一方にあるのなら、ひとの心にビタミンのようにはたらく小説があったっていい。そんな思いを込めて、七つの短いストーリーを紡いでいった。」と書いてあるが、本当にビタミンのように効いた。
読んでよかった。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 文庫
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