ばあさん、またね

祖母が亡くなった。
先週金曜の夜に実家から連絡があり、一報で驚きはしたものの、突然のことに実感がなく、どう受け止めていいかもわからず無の感情だった。
そこから少し時間が経つと小さい頃の祖母との思い出や記憶の中の声が浮かんできて涙がじわりじわりと顔を温かくしてきた。


自分は小さい頃ちょくちょく風邪とかで体調崩していた。両親は共働きだったので、そんな時は祖母が自分の家から出てきてくれて自分の面倒を見てくれた。小学校入った頃くらいだったのであまり記憶はないけれど、とにかく優しくあったかく自分のことを見てくれていたと感覚に残っている。
「泥棒は家まで持っていくことはないけれど、火事は家まで持っていく。だから火には気を付けろ」など祖母から教えてもらったことは今でも自分の習慣に残っている。お盆と正月、あとは時々の親戚の集まりで祖母の家に行った時くらいしか会わなかったし、そんなに話したわけではないけれど、孫の自分をいつも気にかけてくれるなあとは思っていた。


そんな祖母ともう会えない、いってしまった。コロナ禍でしばらく会えておらず、そのままの別れとなってしまった。
私の祖父祖母はこれで全員いなくなってしまった。父方の祖母は私が生まれる前に亡くなっており、祖父は私が高校の頃に亡くなった。母方の祖父は私が社会人になった年に亡くなった。母方の祖母が最後の祖父祖母だった。その事実が静かに心の中で空洞になっている。祖父祖母全員とは同居していなかったけれど、時々会った時はなんか嬉しくて、大きくなってもなんか気になって、そして社会に出て家庭を持ったらその偉大さとそのおおらかさに直接言えないけど尊敬の念を抱いてと、いつも心の隅で思いがあった。


小さい頃から面倒見てくれたし、自分にとっては最後の祖父祖母なので葬式には行きたいと親に伝えたが、祖母の喪主であるおじさんたちが、祖母のきょうだいと祖母の子どもたちで送りたいという意向があると言われ葬儀に行くのは見送った。今日の午前が葬儀だったので、その時間はしばし手を止めただただ祖母のことを思い出し、思い、悲しくて言いたくないけれどさよならを心の中で言った。さよならと同時に、今までどおり見守ってねともお願いした。祖母ならきっと自分だけじゃなく妻と自分の子どもも見てくれるだろうなと思う。


ばあさん、ありがとね。命は繋がっているよ。ばあさんみたいな元気で優しい年寄りになるようにするよ。ばあさん、ありがとね。ゆっくりしてね。またね。