『白鳥とコウモリ』を読んだ

重厚、濃厚。
最初の100ページほどで事件は解決、あとは裁判、というところから深く深く話が進む。単純な事件のはずがふとしたところから疑問が湧き、調べていくとさらに謎の深みに沈んでいく。容疑者として間違いなく、本人も容疑を認めて動機含めて全て自供している。それなのに何か違和感がある。そこに1984年の事件が関係してきて、もう疑問の深みから抜ける糸口はどこなのかと思ってしまう。
中盤以降はもう面白くて読むのを止めるのが難しくて一気に読んでしまった。そして嘘とその嘘をついた理由、真相が全て明らかになった時には驚愕してしまった。1984年の事件含めると人物関係がやや複雑になるのでよく頭の中で整理しながら読んだけど、そこがわかると今回起きた事件の見え方が180度違うものになり、もう衝撃が走った。
500ページ超えの長編だったけど、ほぼ中だるみがなくずっと高い緊張感のまま読むことができた。こういう形で過去が現代に繋がることもあるのか。