下の毛、ごめんね。

下の毛、ごめんね。
君といつも過ごしているけど、暑い時期は君とさよならしないといけない。


自分勝手だとは思っている。ランニングしたり体動かしたりすることが増えて、その時に蒸れるのが嫌だからさよならしようとするなんて、自分勝手だよね。快適に過ごしたいから君と別れるだなんて、自分勝手だよね。


それなのに、僕は臆病だ。もしかしたら急に他人に裸を見られるかもしれない、温泉に入るかもしれないと思って、君と完全にさよならせずに少しだけ残しておいている。


卑怯だよね、未練じゃなく他人の目を気にして君との繋がりを完全には切らない。いや、切るんじゃなくて剃るんだけど。


いつもいる、それが当たり前なのに。
こっちの都合だけで君を振り回す、剃り回す。


下の毛、ごめんね。
気温のせいでも、湿度のせいでも、もちろん君のせいでもない。全部僕のせいだ。


下の毛、ごめんね。夏が終わったら、もうこんな思いはさせない。


下の毛、ごめんね。少しの間だけ、さよなら。少しだけ残した君たち、わがままを許して。


下の毛、ごめんね。