『クジラアタマの王様』を読んだ

伊坂幸太郎うまい!と思わせる作品だった。いつもの伏線ちりばめとその回収はもちろん職人芸。それに加えて今回は途中途中に絵というか無声マンガというようなものが差し込まれていて、その絵も含めての作品になっている。
サラリーマンとアイドルと政治家という、一見繋がりようのない三人が嘘のような部分で繋がり、そして現実世界で関係していく。フィクションの設定だなあと思いつつも、その思いを吹き飛ばしてのめり込ませるような魅力と力が文字、それに絵に込められている。
飛び道具としての絵ではなく、作品を構成する上で、小説作品として絶対に必要なものになっている。細かく描かれていないけれど、これがないとダメ(特にサイコロのところなんて)という絶妙な味付けになっている。
こんな作品を作れる伊坂幸太郎はすごいなあ。


クジラアタマの王様

クジラアタマの王様