『天才はあきらめた』を読んだ

南海キャンディーズ山ちゃんの自叙伝。
読んでいると昔の山ちゃんがいかに酷い奴、糞なのかがわかり思わずむかむかしてしまう。でも、それくらい本人は笑いに対してストイックで、張りぼての自信のために努力し続けたからこそ。それはわかる、それはわかるんだけど、でも過去の相方に対する要求は読んでいてきついものがあった。ただ、山ちゃん自身は周りの批判の言葉も全てガソリンにするくらい努力している。


天才になりたいけど自分は天才ではないと自覚する、でもものすごい努力を重ねてM-1 2004準優勝という結果が出る。ここから売れてハッピー、な展開かと思いきやその後どん底が待っている。芸人辞めようと思うくらいまで落ちる中で、そこから立ち直れたのは自分の努力する力ではなく周りの芸人というのが興味深かった。一人の力には限界がある、そこで助けてくれるのは他人。他人の力があってこそ自分の努力の花が咲く。
立ち直れてからは相方しずちゃんに対する思いも少しずつ変わり、関係が修復されていく。そして再びのM-1挑戦。二人の舞台裏の姿が語られているのは非常に貴重に感じ、胸に熱く迫ってきた。


山ちゃんの糞っぷり、でもすごい努力っぷり、そこからの題名とは逆になるけど天才っぷりがわかる一冊。タレント本というよりは自己啓発書としても使える気がする。
好きなことにはひたすら時間を使え、努力しろ。でも関係する人の気持ちもわかろうね。

天才はあきらめた (朝日文庫)

天才はあきらめた (朝日文庫)