『ステップ』を読んだ

久しぶりに泣いて文字が読めなくなった。
悲しい話ではない。悲しみに触れて力をもらえることだってあることを教えてくれる。読後前向きになれる。心がほっこりする。だから泣いてしまった。
2歳から小学校卒業まで続くパパと娘の話だが、2人で過ごして成長してきたわけではない。厳しくするのも、甘やかすのも、いろいろな人が一生懸命になったから美紀ちゃんが育っていく。むずがったり駄々をこねたり隠したり泣いたりするのも成長。
そんなパパと娘を囲むいろいろな人の中で、特に義父がよかった。わかる、わかる、その気持ち。時折見せる「鬼の村松」の姿、孫の前では「でれでれじいさん」になる姿、パパにおせっかいや忠告をしながら「息子だ」と言う姿、そして娘を早くに亡くした父としての姿、全ての姿が見えてきたからこそこの話に深みが増す。だから終盤泣いてしまった。
「思い出は増やせない」「思い出はあとからでも増える」、この話で出てきた言葉、どちらも正しいと思う。
重松節にはもうやられないと思っていたのにやられた。読んでよかった。

ステップ

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