『係長島耕作』を読んだ

課長島耕作になる前の話。
深夜2時帰宅、サービス残業、徹夜とか当時のモーレツ社員っぷりが出ていて、私からするとこの時代では生きていけなかったなと感じる。中には仕事の忙しさを理由に健康診断を受けず、仕事のしすぎで体を壊し死に至った社員もいる。


働ければ働くほど報われた成長の時代だったかもしれないけれど、残業代ほしさに毎日用もなく残業する者、前日遅くまで飲みすぎて翌日会社のデスクに突っ伏して寝る姿、上司の身勝手な一言で急遽残業・徹夜対応する姿など、冷静に見たらものすごく生産性の低い状態であることがわかる(もちろん生産性低い場面ばかりではないけれど)。
現代の働き方改革、生産性向上が叫ばれる元の原因はこの時代だったのかなと感じる。そういう意味では現代の学生や新人が島耕作シリーズを読んでも全く面白いと思わないかもしれない……


仕事内容では、VHS・ベータ戦争の決着要因と噂されたAV投入を販売戦略として描いていたり、画期的なCMで一気に製品をヒットさせたりと、販売・宣伝の仕事の面白さを表現している。


そして島耕作お馴染みの夜のほうは、結婚して小さい娘もいるのに早くも浮気をしている。仕事への正義感はあるのに浮気はあっさりと一線を越える、これが島耕作なのかもしれない。それにしても一線越えるのあっさりすぎだろ!
さらに、モーレツ社員をしていて仕事と家庭の両立に悩みつつ結婚生活に不満を抱える島耕作に、その後の家庭生活崩壊の予兆が見える。


そんなこんなで仕事にも家庭にも夜にも全力投球して課長に昇進。これが「課長島耕作」に繋がるのね、と納得した作品だった。


係長 島耕作(1) (イブニングKC)

係長 島耕作(1) (イブニングKC)