『専務島耕作』を読んだ

昔から非常に優秀だった郡山が社長になり、いよいよ島耕作は専務に。一部上場企業の専務というスーパー激レアな人物の出世物語を見せられている。


専務になったことでさらに幅が広がり、インドに加えてアメリカも島耕作の舞台に加わった。音楽会社に出向していた部長以来か。
中国の仕事もあるので、中国、インド、アメリカ、東京ととにかく飛び回る。それでいて娘に会ったり友人に会ったり会食したり、そして抱いたりとエネルギーが尋常ではない。無欲な感じが出ているのでギラギラとした感じはないが、冷静に島耕作の仕事ぶりとプライベートを考えると、無茶苦茶エネルギッシュだ。


プライベートでは部長以来久しぶりにもう一人の娘であるナンシーに会うけれど悲しい別れとなる。そして奈美のほうはまさかの黒人男性と不倫&出産からの婚約という波乱万丈な人生になっている。この親にしてこの子ありを体現しているなあと思った。


専務編の仕事のメインは五洋電機との経営統合で、現実のパナソニック三洋電機を先取りしたと話題になっていたけど、実際に読んでみて感心した。そういえば三洋ブランドあったなあ。ちなみに我が家の炊飯器は未だに三洋。
経営統合の過程で、これまで超優秀で厳しい人物として描かれていた郡山が一気に堕ちていくのはやや悲しいものがあった。優秀な人でもこんなにあっけなく失脚するものなのか。


その郡山の退任に伴い遂に社長になるけれど、相変わらず島耕作島耕作。社長の打診があってもいやいや私なんかがというスタンスで、社長になっても80%は運でたまたま周りの人に恵まれたとさらりと言う。そんな肩肘張らずに仕事を一生懸命やっているからこそ、読んでいて疲れずに島耕作ストーリーに夢中になれるのだろうな。


専務 島耕作(1) (モーニング KC)

専務 島耕作(1) (モーニング KC)