『火星に住むつもりかい?』を読んだ

告げ口でも平和警察に危険人物とみなされた者は容赦なく処刑される世界。そんな世界で時折現れるツナギ姿の正義の味方。平和警察の敵なのに正義の味方?と思うけれど、読んでいるうちにこの正義の味方を応援したくなってくる。そして正義の味方が自分の想像していた人物ではないことに驚かされる。
そこからラストにかけての展開は、人物と行動理念がはっきりしているので非常にテンポよく読める。結末がああいう強引なものだとしても、これまでの平和警察の振る舞いがそうだから納得できる。言葉を借りると、「真実がどうであるかは関係がないのだ。必要なのは、『自分たちにとって都合のいい情報が、真実として扱われる』ことだ」なのだ。
読み手の問題だけど、ちょぼちょぼ読まずに一気に最初から最後まで読めばよかったと思った。そうしたらこの作品がもっと感情移入できてダイナミックに楽しめたかもしれない。

火星に住むつもりかい?

火星に住むつもりかい?