『希望ヶ丘の人びと』を読んだ

ニュータウン、40代男性、難しい時期の子ども、うまくいかないことばかり、と重松節要素(?)満載の作品だが、マンネリ感がない。これだけの要素があれば「またか」という感じが出てもおかしくない、むしろこれだけ作品出していれば出るのが普通なのに出なかった。正直マンネリ感がありそうで買ってから読むのを敬遠していたが、もっと早く読めばよかった。
エーちゃん、フーセンさんと旦那、マリア、ショボさん、チクリ父子、瑞雲先生と、みんな憎めない魅力的な人物ばかり。主人公一家だけでなく、それらの人物の生活もしっかりと書かれて作品につながっていくのが素晴らしい。
苦しみ、悩み、助け、目覚め、行動と、うまくいかないことばかりのことにどう立ち向かうのか、立ち向かう前にどう見ればいいのかがわかる。現実世界にエーちゃんやフーセンさんのような人はなかなかいないので、立ち向かうよりもどう見て行動すべきなのかが大切だと感じた。
これで重松作品に何度胸を温められただろうか。

希望ヶ丘の人びと

希望ヶ丘の人びと