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先週真春の夜の夢を見てから煩悩にとりつかれている。真春の夜の夢の心地よさに酔いながら、確かに自分はベースケだけどこんなの自分ではないのでは、と思い夢と煩悩を消し去ってみることにした。
午前中に外での用を済ませ、午後は自分らしく読書。窓から入る春の風を浴びながら文字を追う。時々録画した『CDTV×サカス』の桑田さんのライブをコーヒーなんて飲みながら見る。
そんないつもの自分らしい生活をしていたらだいぶ頭の中が落ち着いてきた。そして一番読みたかった本を読む。
『ないた赤おに』。先日保母さんからいただいた絵本で、落ち着きたい、落ち着いてきた今だからこそ読みたいと思った。
子どもの頃に何度も読んだし読み聞かされたからもちろん話の内容はわかっている。それでも、大人になった今再び読むと、また心に静かにこの作品が流れてくる。大人になったからこそより深くわかる部分もある。表紙に「大人になっても忘れたくない」と書いてあるが、まさにその通りだった。
単純な話ではないし、孤独、友情、悲しみと子どもが読むにしてはちょっと絵本らしくない作品ではあるが、それでも未だに覚えているということはそれだけ心に残る素晴らしい作品なのだと思う。子どもの頃に読んで知っているのに、最後の青おにのはり紙とそれを読んで泣いた赤おにの場面では読んでいて表情が硬くなってしまった。赤おにが泣いた、と、なぜ泣いたのかはっきりと書かずに終わっているから、子どもが大人になってもこの話を覚えているのだと思う。赤おにの気持ちは書かれているけれど、青おにの気持ちは全く書かれていない、だから最後のはり紙は赤おにでなくとも何度も読み返したくなるし、赤おに中心の作品なのに青おにのことも強く考えてしまう。名作絵本を大人になった今読めたことに感謝している。
なんとか元の自分に戻れた気がする。ありがとう室内、本、保母さん。ベースケであることに変わりはないのだけれど。