『嗤う伊右衛門』を読んだ

四谷怪談のお岩さんの話はなんとなく知っていたが、その中のお岩さん像とは違う、凛として強さのあるお岩がいた。それに対し生真面目で無愛想な伊右衛門
怪談ではなく愛の物語。しかもとてつもない悲しみをまとっている。誤解やすれ違い、愛憎は最後に悲しくも美しい形になる。
伊右衛門とお岩以外の人物もみな丁寧に書かれているので物語全体に厚みがある。また、巷説百物語シリーズの御行の又市が出たりと他の京極作品を読んでいるとより楽しめる。

嗤う伊右衛門 (角川文庫)

嗤う伊右衛門 (角川文庫)