『数えずの井戸』を読んだ

770ページを超えのハードカバー。分厚い。そして重い。電車の中で立って読んでいる時さすがに腕が痛くなった。
数えるから足りなくなる、欠けたと思うから欠ける、何もなくても満たされている、と概念と捉え方による考えの違いを見せられた。序盤登場人物を一人一人詳細に書き、それぞれの数えや欠けを知る。そして終盤それらの人物が集まっていく場面で概念の違いで悲しい結末になる。巷説百物語シリーズの御行又市らが今回も出てくる。
この解釈だと番町皿屋敷が悲しいお話だと感じる。怪談の怖さはない。何かが変わっていれば、ずれていればこんな結末にならなかったのに、菊も幸せになれたのに、と悲しくなった。

数えずの井戸

数えずの井戸