『怪 vol.24』を読んだ

今回も不思議と驚きと感心がたっぷり濃厚に詰まっていた。年2回発行というのがもったいなさすぎる。
アメリカの大学から出てきた謎の妖怪絵巻は非常に興味深かった。江戸時代にぬりかべが描かれているという新事実と、水木大先生のぬりかべ像とは全く違う獣のような姿には驚きを禁じえなかった。それを5人の変わった知の巨人が語り合うから面白い。まだまだ妖怪を巡る発見はいっぱいあるし、そこから新しい文化の発見があるのだと思った。
他にも妖怪の存在を信じ続け、築地本願寺一橋大学を設計した帝大教授伊東忠太。有名な建物にちらりと見える妖怪の姿に、思わずそこに直接行って見てみたくなった。
猫が化ける民俗学、京極作品文庫版の表紙でおなじみの江戸張り子職人荒井良氏、妖怪学入門「百鬼夜行」、京極氏の新連載「妖怪の宴 妖怪の匣」など『怪』でしか読めない極上のものばかりだった。特に新旧の辞書の記述から「化け物」に就いて考えてみるという「妖怪の宴 妖怪の匣」は、国語の試験に出てもいいくらいしっかりと読ませる連載だった。
次号は夏の予定か。怪談シーズン真っ盛りの中にこれまた「怪」な一冊が出ることを期待。

怪 vol.0024 (カドカワムック 267)

怪 vol.0024 (カドカワムック 267)