『虚実妖怪百物語 急』を読んだ

虚実妖怪百物語も序破急とこれで終わり。序破と続いた勢いを急でさらに盛り上げる。妖怪、怪獣、お化け、さらにはホラーのあれまでのまさに異界のもののオンパレード。ただし単なるファンタジーものではなく、きちんと現代にこれらが現れることができる理由が明示されている。それ故にいつか現実の日本でもこんなことが起きてもおかしくないんじゃないかな、とすら思える。
途中の荒俣先生の講釈も妖怪について非常に説得力があるが、最後の決戦を締めるあの人のお言葉がやはり一番説得力がある。軽いんだけど重い、面白いんだけど深い、話しているだけに聞こえて説得力がある。妖怪大作戦、妖怪大行進、妖怪大戦争の締めはやはりこの方じゃないと。
巷説百物語などの百物語と比較すると現代でだいぶ軽い感じになっているので肩透かしになるけれど、現代の妖怪ものとして読めばぐんぐん世界に入り込めて読める。鳥山石燕の「画図百鬼夜行全画集」を横に置いて、妖怪が出るたびにこちらで姿を確認するという読み方をするとなお面白い。


虚実妖怪百物語 急 (怪BOOKS)

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