『今昔続百鬼 雲』を読んだ

749ページたっぷり妖怪馬鹿多々良センセイの行状記。相当な妖怪馬鹿であり馬鹿だ。
研究の旅の感覚を壊さずに妖怪の説明、事件発生、センセイの暴走と広くできている。妖怪がいるように思わせておいてしっかりと現実的で合理的な解を出すあたりがうまいと思った。特に即身仏の話は前から興味があったので非常に楽しめた。
そしてこれは画図百鬼夜行、今昔百鬼拾遺の、そして鳥山石燕本人に対する京極夏彦氏の考察、論文ではないかと思った。ストーリーをしっかり作ってなおかつ鳥山石燕のこともしっかり多々良センセイや沼上、富美ちゃんの口を借りて述べている。
京極道本編とも番外編の百鬼夜行、百器徒然袋ともまた一味違う面白さ。だって多々良センセイ解決していないんだもん。

文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫)

文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 (講談社文庫)