『アトポス』を読んだ

971ページの長編。これは長い。3冊分くらい読んだ読後感。古本屋で文庫で買ったのに650円だった。
吸血鬼編、ハリウッド編、上海編、サロメ編、死海編とあるがそれだけで十分読み応えのある内容。それらが全て一冊に入っている。吸血鬼編と上海編はそこまで詳細に書かなくてもと思っていたがクライマックスに絶対必要な要素。それ単体でも楽しめる。それらを余計だと思うか結末へのしっかりとした堅めと思うかでこの小説の評価が変わると思う。
まさに神の仕業としか思えない数々の殺人事件が、しっかりと論理的なトリックとなっていて感心してしまう。700ページ超えたあたりで登場し謎を解く御手洗さんすごすぎ。ただ、「怪物」「怪物達」の正体のトリックというか説明はただ小説を読んでいるだけでは推理できないところがあるからそこがやや不満。それでもそこの部分の説明は読み返すとはっきりとではないが示してあるから唸ってしまう。
確かに長いけど文は難解ではないし、説明や謎がどれも魅力あるものなので意外にサクサクと読めると思う。

アトポス (講談社文庫)

アトポス (講談社文庫)