『モロッコ水晶の謎』を読んだ

火村とアリスの国名シリーズ第八弾。中編が三つと超短編が一つ。どれも一筋縄では解けない謎で読みながら「?」が増えていくばかりだった。
表題作はトリックの観点からいけばギリギリセーフかアウトかという線のもので、そりゃあないよ、とも心理的にそうきたか、とも思える。真正面からこの衆人環視の毒殺事件を解こうとすると絶対に解けない。そのトリックは反則では・・・と思うけれど、読み終わると確かにそう考えるとそうだよなあと感心してしまう。本当にギリギリの線で書かれている感服のトリック。
一番よかったのは実は超短編の「推理合戦」。7ページしかないという超短編だがその中に大きな謎とそれの解決にいたるまでのプロセスがしっかりと詰まっている。結末と終わり方が最高によかった。思わず「うまいっ」と唸る作品だった。
国名シリーズは毎回期待している。

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫)

モロッコ水晶の謎 (講談社文庫)