『心霊探偵八雲 7』を読んだ

心霊探偵シリーズ第七弾。外伝を含めると第八弾。
今回遂に八雲の出自がわかる。その出自にかかわる部分と今回の事件が悲しくてしょうがない。ただ、一つのことを望んでいただけなのにそれが叶わぬ。ただ、一つのことを守りたかったのに40年を超えて続く悲しみ。第八弾にもなるとこの「心霊探偵」シリーズ独特のクサさが出てくるが、それも最後のほうでは気にならないくらい悲しみと未来の描写が際立ってうまかった。人間であることをストーリー全体から伝えていた。終盤は昔からの禍根の真相と出自の真相の重なりで辛かったなあ。
出自がわかるシリーズ通巻読者としては新たな驚きがあった。ただ、題名に「7」とあるとおりシリーズ物なので、1から読んでいないとこの面白さはわからないだろうな、と思える部分が多々あるのが残念だった。今までを読んできていると序盤からすんなりと話に入れるが、いきなり7を読むと八雲、晴香、後藤、石井、畠、両目の赤い男などの人物がわからず読みづらいだけで終わると思う。今作も場面展開の速さと登場人物の差異化がしっかりとできているだけにそこがもったいない。「7」を読むなら「1」からは間違いないのだけれど。


心霊探偵 八雲7 魂の行方

心霊探偵 八雲7 魂の行方