『心霊探偵 八雲〈5〉つながる想い』を読んだ

過去四作に比べ今作はいろいろな意味でかなり異なっている。
まず冒頭で主人公ともいえる八雲が失踪。それに続くかのように主要人物の後藤刑事も失踪。過去サブ的な役割をした人物が活躍、謎解きする形になっている。
スピーディーな文体と次々と切り替わる展開は今作も健在。あっという間に読み終わってしまう。
シリーズものにとってマンネリ化とは常に戦わないといけないが、五作目でその不安は完全に消えたと思う。霊といった非現実的なものと科学的な論理のマッチングが見事で、言い方は変かもしれないが納得する超常現象だった。
内容は今までの中で一番重いものだった。今まで読んできた者にとっては石井刑事ではないがずしんと錘のように残った。八雲出生の秘密や生みの親の話などが一気に明らかになったためであるが、それにより今作で完結ではないかと思ってしまった。
ただ、作者が完結に関してはあとがきで否定している。そのかわり次作まで時間がかかるということも言っている。
一作目から登場人物が成長していく様を見て(読んで)きた。時間がかかってもいいのでぜひまた続きが読みたい。

心霊探偵 八雲〈5〉つながる想い

心霊探偵 八雲〈5〉つながる想い