序盤に語られる時計館の過去と来訪者の過去から、ストーリーは一つの方向に向かっていく。話が進むにつれてその方向性は確かに一直線になっていくが、どこか違和感を覚える。相次ぐ事件もそこに確かな理由があるように思えるが、どこか繋がっていないように思える。
やがて終盤で全ての謎が明らかにされたとき、事件の全容が全く別のものに変わる。この全く見え方が変わる真相には驚いた。真犯人のアリバイ、トリックにも驚いたが、それらをまとめたときに見えた真相にはさらに驚いた。ページ数は多いが読み終えた今、そこに無駄はないように感じる。時々覚える違和感もこの全く見え方の違う真相のためだった。
手がかりは全てフェアに見せ、それでも驚愕の展開を見せる作品だった。
- 作者: 綾辻行人,皆川博子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/06/07
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 89回
- この商品を含むブログ (101件) を見る