始まる、深夜高速(フラワーカンパニーズ風)

前日は帰宅したら寝るくらいの勢いの早寝をして、24時に起床。
先にバイクカバー取って外に出しておこうと外に出ると、夜中のあの空気になっていた。夏に深夜出発する時に毎回嗅ぐあの夜中の空気。むわっとする暑さの中に確実に感じる澄んだ空気の香り。この空気の匂いがたまらなくドキドキさせてくれる。この空気が鼻から入り、全身を循環して「さあ旅に出るんだ」という気持ちにさせてくれる。興奮を抑えるようにと虫の声が遠慮がちな感じがしたけれど、全身が熱くなっていくのはもう止められない。


よく考えたらただの帰省なんだけれど、バッグに荷物を積めて、バイクで移動となると旅の感じになる。本や映像見ながら移動できない、足を伸ばしてゆっくりすることができない、飲み物を飲みながら走れない、ヘルメット、ジャケットにパンツ、靴にグローブと用意しないと走れない、スペースの関係上積載量限られている、何より極端に言うと体を外に晒して生身でエンジンに跨っているような状態で走る危険さ、そんな不便の総合商社(辻元清美風)のバイクに乗ってなぜ700kmも移動しようとするのか、やっぱりどう考えてもバカだからなんだと思う。自分はめっちゃビビリだし怖がりなので、恐怖心がないのではなくバカ。恐怖心を超える、恐怖心なんて感じないほどの楽しさがバイクにはあるとわかっているからバイクで帰省するんだと思う。「バイクはバカにしか乗れん」という言葉があるけれど、本当に良く言い表している。


ツーリングバッグに荷物を積めて、リアシートに固定して25時半に出発。交通量が少なくかつ涼しい夜中に走れて、でも何も見えない景色だとつまらないので日の出で辺り一面の田んぼがキラキラ輝く風景が見られて、暑くなる前に実家に到着すると考えたらこの時間の出発が一番いいだろうと思った。ギアをLowに入れて発進するとまたドキドキしてヘルメットの中で一人ニヤニヤする変態。


出発前から気になっていたのは最近みちのくを賑わす熊出没情報。高速道路での車との接触事故もニュースで見ていたので、万が一出たらどうしよう〜と思ったら遭遇したのは熊ではなく渋滞だった。
東北道に入ってすぐに事故渋滞40km。夜中の3時前から渋滞に遭うなんて思ってもいなかったので大きな誤算。渋滞の中走るのは神経も使う。ようやく渋滞抜けたら今度は自然渋滞。また事故かよーと思って走っていたら何もなくいつの間にかいつもの走行に。一体何だったんだ。
最初の給油&休憩ポイントに到着したのが予定より1時間半遅れ。その後も事故渋滞と自然渋滞に何度も巻き込まれて結局9時間かけて到着。途中のPA・SAも入る前から渋滞ができていて入る気がなくなる混み具合だった。走るのは楽しいけど渋滞の中走るのはただただ苦痛。実家に帰る前にG家に行ってお土産渡しと子どもに仮面ライダー疑似体験。オフ車じゃないけどね。


その後実家に向かい、玄関前で軽く空吹かしして(ダメです)帰宅を伝えるも誰も出てこない。あれ?おかしいなと思って家に入るとなんと全員外出中。お前らそんなに単独で帰ってくるのに興味が無いのか!後から話を聞くと妹は友人とお出かけ、両親は叔父の家がお盆は仕事があり墓参りができないということで先にお中元持って行ってきたということだった。なんだ、それなら先に言ってくれればよかったのに。とにかく着いた時からアウェイ。


とはいえ腹は減るので冷蔵庫の中にあった飲み物食べ物を勝手にむさぼり食ってエアコンの効いた部屋でゆっくり。満腹が誘う昼寝に抗うこともなく意識を落として早くも実家を満喫した。
起きたら眼科に行きコンタクトを処方してもらい、それから飲みに行くために駅前に移動。飲む前に普段お世話になっているバイク屋や居酒屋、それに留守番している妻のためのお土産を買おうと駅のお土産屋さんをうろうろしていたら、偶然O様と会った。
「あ!」という顔をすると同時に携帯を耳にあてて電話をしているフリをするO様。これは社会人の中でも高度な技の「雪崩式私今電話しているのでかまわないでくださいバスター」だ。そんなもん食らったらこっちだって近付くことできない。いや、それ以前に「帰省の時期だし駅前にいてもおかしくないか」となぜか冷静に思ったのでスルーしてお土産探しに戻ったんだった。


お菓子やお酒を探していたらO様が探してくれたらしく、そこで初めて帰省したの話になり、さらにGが合流しておっきい高校生のトーク。謎の用事の存在をちらつかせてO様は去り飲みへ。
飲みはこれまたおっきい高校生たちの放課後みたいな感じだった。年齢だけ大人になっても中身は相応に成長はしないのね。自分が一番「何も変わらない」と言われたけど……まあ価値観も思考も昔と変わっていないからそりゃ変わらないね。自分も含めてみんな高校の時とは違ってそれぞれの立場や責任があると思うけれど、夢は?と聞かれて即答できるようなワクワクは常に持っていきたいなあ、いこうよと思った次第だった。俺の夢は毎日遊びたい!


河岸を変えてまた放課後トークをして、スタンド使いがいて話が何度もループするということもありつつ1時前にお開き。
さて明日は朝からツーリング行こうと思って帰宅の気持ちになっていたらGの乱。放課後トークでは順風満帆な感じが出ていて、鬱憤が溜まる要素なんて全くなさそうだったのに「もう一軒行くぞ!」とOさんと一緒に拉致されカラオケ店へ。
眠気、眠気、眠気ととにかく闘いながらのカラオケは3時過ぎに終了。今度こそ帰るぞと店から出たら眠気を飛ばしてくれるようなつめた〜い風が出迎えてくれた。普段2時、3時過ぎでも暑さで目が覚めることがあるのに、地元の3時過ぎは半袖ではいられない寒さだった。子どもの頃から父親に「お盆過ぎたらもう秋だ」と言われていたけど、地元は確かに秋の気配がしていた。うう、さびぃ。


多少昼寝はしたもののほぼ24時間以上活動した帰省初日は3時半に終了。明日の予定は一旦リセット。