『嘘をもうひとつだけ』を読んだ

独立した5つの話。2つ目の話になるとどういう形式で犯人が誰なのかがわかる。そういう書き方をしているので、犯人探しではなくその裏にある犯行に至る人間の感情に重きが置かれている。
嘘をついたらもっと大きな嘘をつかないとその嘘を隠せない。それをわかっているのに嘘をつく。嘘をついてまで隠したかった犯行の動機、犯行の裏側には何とも言えない悲しみがある。
「第二の希望」は読んでいて心苦しかった。加賀刑事は嘘の裏側まで知っている。どれだけ苦しい真実なのか知っている。それでもきちんと真実を語らせる。こんな話は小説だけでいいと思えるほど心苦しかった。

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)