『邪魔(上)(下)』を読んだ

主婦、高校生、刑事の「普通の生活」が崩れ落ちていく様を恐ろしく自然に描いた作品だった。「自然に」崩壊が進んでいくので、その過程がとてもリアル。小説的な匂いがするのに過程は現実的な匂いがぷんぷんする。それだけに読んでいて緊張するし恐怖を感じる。
上、下と話は長いが、あっという間に読める。読めるというより読ませてくる。負の感情と転落の展開がじわじわと広がっていく。抗おうとしても抗えない、正しいことをしているのに精神は崩れていく。一度読み始めると危険な小説。


邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(上) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)

邪魔(下) (講談社文庫)