『幼な子われらに生まれ』を読んだ

バツイチ同士の再婚、妻には二人の連れ子がいる。妻の妊娠を機に私(父)を嫌がり「本当のお父さんに会いたい」と言い出す長女、そんな長女と同い年の前妻との娘を比べてしまう私。
重い。非常に重い話。一気には読めなかった。
父親でもないしバツイチでもない、それなのにこの話がとてもリアルに感じた。そのリアルさが嫌になるくらいに感じられて、何度も本を閉じた。
もし自分がこの立場だったらどうしようと考えた。この小説と同じく明確な答えは出なかった。露骨に「私」を嫌がる今の家族の長女はやっぱり「自分の子」だとは思えないような気がしたし、素直で明るく「私」をよく理解してくれる前妻との娘をますます愛していくのではないかと思った。
しかし、今の家族はそっちではない。妻が妊娠してから自分にとっての家族を長女だけではなく「私」も受け入れられていない。そこのずれて壊れていく様子と両者の気持ちが痛いほど伝わってくる。
ハッピーエンドで終わっていない。何か答えを示して終わっているわけではない。だから読む側がそのリアルな重さを受け止めて考えるしかない。ヒントは最後に生まれた幼な子にあると思った。

幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)

幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)