『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』を読んだ

確かにいい。笑えてぐっとくる。
だけど「ミリオンセラー」「本屋大賞受賞作品」となるほどの作品かといえばちょっと疑問符が付く。
オカンへの愛情がストレートに伝わってくる。小さい頃から大人になるまでのオカンとボクの関係、出来事を詳細に綴っているのでオカンがとてもリアルに感じられる。終盤のママンキーの手紙と日記のメモは最初からの二人の話を読んできたのでぐっとくる。一度も泣いたところを見せたことがないオトンが声を上げて泣いたのも伝わってくる。
ただ、明らかに冗長に感じられる場面がいくつかあった。また、オカンへの気持ちが強すぎて内へ内へと行っているようにも感じられた。「小説」として読む人、外への書き方よりは自分へ自分のために自分の思いを書いたようで、もうちょっと外へ向けた書き方でもよかったんじゃないかと思った。
この作品を読んで、第三回にして本屋大賞という賞がちょっとぐらっときたような気がした。本屋大賞はあまり知られていない本をみんなに知ってほしいという本屋の店員さんの思いを賞にしたものだから、正直他でもよかったんじゃないかと思う。
間違いなくいい作品ではあると思う。ミリオンセラーでもなく本屋大賞も受賞していない発売直後に読んだらまた違ったと思う。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~