『死神の精度』を読んだ

うまいなあ、と思わず唸ってしまった。このような小説を書ける人はそうはいない。才能が溢れていることが文章から伝わってくる。
人間の格好をして調査という形で対象者に接するが人間らしさを感じさせない表現、人間ではないからこそ思いつくような質問や受け答え、それぞれの話にある謎が最後には綺麗に解けて、そして静かな結末を迎える構成、うまい。
伊坂作品の不思議な設定には毎回よくこんな考えが浮かぶなあと感心する。さらにその設定がきちんとまとまりと説得力を持っているからすごい。そして共通して伝わってくる強い倫理観。今作は死神が主役だが強い倫理観は共通してしっかりとある。
こういう作品に出会えるから読書はやめられない。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)