『元・新日本プロレス』を読んだ

『子殺し』に続くGK金沢作品。はっきり言う、素晴らしい!魂の一冊だ。
題名どおり元・新日本プロレスの選手にインタビューしている。小原道由片山明、大家剛功、栗栖正伸越中詩郎大谷晋二郎。帯に「リング上より劇的な「その後」の物語」と書いてあるが、選手時代の話も多く語られている。しかし、やはり「元・新日本プロレス」になってからの人生が壮絶に語られている。
読み終えて、「ああ、プロレスラーって本当にすごいんだな」と思った。入門、練習、デビューともう何度もいろいろな選手のインタビューで読んだことがあるが、本当に人間離れした壮絶な世界だ。その中で生き抜いてきた選手だからこそ人生に重みがある。華やかな話だけでなく、正直なリング上、リング裏、生活の話も書かれているが、そこまで知ることでより一層プロレスラーとしての生き様が見えてくる。小原の道場最強伝説の真相、それからの生活と今の生活が本人の口から直接聞けるなんて思わなかった。大谷のプロレスへの情熱、片山の今、越中の全日本から新日本、フリーの流浪の人生、栗栖正伸のプロレスラーとしての矜持、大矢の新日本魂と片山との友情―元・新日本プロレスの選手を書いているが、悲壮感や感傷に浸る書き方ではなく、選手とGK金沢の真剣な語り合いから生まれた心の芯から熱くなれる素直な書き方だった。
『子殺し』を読んだときに「こういうプロレス本が読みたかった!」と思ったが、今作も同じ思いになった。プロレスラーへの敬意と真剣な思いが伝わってくる。

元・新日本プロレス

元・新日本プロレス