『ミリオンダラー・ベイビー』を見た

辛かった。本当に見ていて辛かった。残酷な現実が突きつけられる。でも見てよかった。心にとても深く刻まれた映画だった。
ボクシングが中心の映画だと思っていたが違った。苦労しつつも栄光を掴み取っていくサクセスストーリーでもなかった。
生き方に傷を持っている老トレーナーと、誰もいない、これしかないという32歳の女性ボクサー。ある意味似たもの同士の二人がボクシングで生き方を取り戻す。
後半予想もしていなかった展開に絶句した。フランキーもマギーももうこれ以上辛い思いをする必要はなかったはずなのに。
静かに重いテーマが進んでいく。家族が見舞いに来たシーンは悲しみと怒りが込み上げてきた。前半の対応にも不快感を覚えたが、見舞いでのあの対応は人としての感覚を疑ってしまった。
「頑張ったけど負けた」をシビアに評価するのが社会だが、人は「負けたけど頑張った」を評価してほしいのだ。
ラストシーンはああなのかもしれないが、割り切れない。そこを評価していいのかと思う。それは映画の評価ではなくて人間としての選択の評価になる。個人的な意見だが、ラストシーンの選択には100%賛成することはできない。
映画を見ている時も、映画を見た後も本当に深く考えさせられる映画だった。


ミリオンダラー・ベイビー [DVD]

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