3.11、10年。
あの日起こったことやその後の生活は忘れていることも多いけど、あの日抱いた感情は今でもしっかりと思い出せる。
揺れている間のとてつもないことが起こっていることへの不安、恐怖。
揺れが収まった後にテレビで津波の映像を見て、関東が震源地ではなかったと気付いたあの驚き。
テレビでは太平洋側の津波映像だけだったけど、それでも実家に帰れない、実家の家族にもう会えないのではないかという呆然とした思い。
暗い中歩いて自宅まで帰っている時のこれからどうなるんだろうというこれまでの人生でなかったこの先への喪失。
原発事故のニュースを見て、当時いた都内にこのままいても大丈夫なのだろうかという底知れない不安。
瓦礫撤去のボランティアに行き、瓦礫の中から見つけた家族写真を見た時や、恐らく夫であろう人の遺影を持ちながら町を歩いていたお婆さんを見た時のどこにぶつけたらいいかわからない体の内から出る熱と涙。この場所がどんなに好きだったか、どんなに生きたかったか。
ボランティアから帰ってきて、東京のネオンがいつものように、まるで何もなかったかのように照らしてきた時の、被災地との落差に愕然とした気持ち。
いろいろな感情は今でもすぐ思い出せる。その感情をこれからも持ち続けたい。
3.11から10年。結婚して子どもも生まれ、一緒にいたい人、守りたい人が増えた。防災意識と何かあった時にすぐに駆けつけたいという気持ちはより強くしていかないといけない。来てほしくはないけれど、必ずあの時のような天災はまた来ると思って。
復興は終わっていないと思う。東北が好きだ。みちのくが好きだ。だから思い続ける。思い続けることも復興だと強く思う。
10年が区切りではないと思う。これからも、これからも。
