『AV女優、のち』を読んだ

2000〜2010年代のAV女優のインタビュー集。AV女優になりたいと自ら応募してくる機運を生んだとされる恵比寿マスカット。そのメンバーのみひろと麻美ゆまも登場している。その他の元女優も超有名どころばかり。


どの元女優もAV出演前、出演の動機、出演中の気持ち、引退を決めた理由、そして引退後の生活について語っている。同じ「AV女優」でも動機も気持ちも全然違う。そして引退後の生活はさらに人それぞれでバラバラ。
しかし、共通部分として、単にヌくだけの消費だけではない部分をみんな真剣にやっている。これは読んでいて本当に強く感じた。ただエロとして見てもらえればいいというところの先にある部分をみんな一生懸命やっていた。レンタル系からセル系全盛になった今だととにかく消費第一主義な作品ばかりになってきているけど、やはりその当時は時代が違ったんだなと感じた。


この本の中に出てくるメンバーはある意味とても時代が良かったのかもしれない。高速ネット本格普及のギリ前か始まりなのでネット上にあまり動画が流れない、SNSもないか普及していなかった時代で、よく売れていた時代。
それに対し現代は一度作品が出たら半永久的にネットに残る、違法サイトにタダで流れる、それによるギャラの低下、SNS時代で積極的にユーザーと繋がらないといけない(もしくは直接的に攻撃される)、さらには去年急に話題になった出演強要問題と、極端に以前とは環境が変わりメリットがなくなってきている。


これまでのAV女優が全員引退後は幸せになっているなんてことはないと思う。それでも世の男性にファンタジーを与えてくれたんだから幸せになっていてほしいなと思う。
真剣にエロと向き合える一冊。


AV女優、のち (角川新書)

AV女優、のち (角川新書)