『サザンオールスターズ 1978-1985』を読んだ

タイトルどおり、初期の1978年から1985年までのサザンの活動と曲を評論した本。
サザンの評論本といえば、『地球音楽ライブラリー サザンオールスターズ 改訂版』を時々読むが(そろそろ最新改訂版が出てほしい)、こちらの本はそれを超えてすんごいよ。単なる評論本ではない。


著者の当時の思いを込めながら批評されているので、とにかくものすごい熱量。デビュー曲の「勝手にシンドバッド」がいかに当時としては画期的でハチャメチャだったかというのはいろいろなところで語られている。ところが、ところがこの情報を持っていてもこの本で再度「勝手にシンドバッド」評論を読むと、改めて驚き、そして曲が聴きたくなる。もちろん聞いた。


1978年から1年ごとに活動とその間の曲を解説しているが、サザンデビュー後生まれとしては当時のサザンがどう動いていたか、世間はそれをどう捉えていたかがかなりリアルに伝わってくるので読んでいて非常に勉強になるし興奮が止まらない。
そして作中でアルバムの紹介がされるたびにそのアルバムを本をなぞりながら聴いてしまう。自分の感覚の再認識もあるし、新たな再発見もあった。この本を手元に置きながらサザン初期のアルバムを聴くと、非常に、非常に贅沢な時間を過ごせる。


何よりすごいのが、1985年の『KAMAKURA』を出した時点で桑田さんまだ20代。20代だぜ、ぶったまげる。
勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」「栞のテーマ」「夏をあきらめて」「ミス・ブランニュー・デイ」「海」「メロディ」……今でも聴く曲の数々が20代の青年が作っている。
桑田佳祐という人の天才さはもちろん、順風満帆とはいかず苦悩しながらも初期のサザンを作り上げていく姿も感じることができる一冊。
すんごいよ、これ。しばらくは1985年までのアルバムだけ聴くことになりそう。あ、来週『がらくた』発売だ。

サザンオールスターズ 1978-1985 (新潮新書)

サザンオールスターズ 1978-1985 (新潮新書)